技術の発展とともに進化してきた太陽光発電。現在の性能や設置費用は、販売開始当初と比べてどれだけ変わったのでしょうか。発電効率、導入費用、導入数をもとに過去から現在に至るまでの歴史をまとめました。
発電効率はどれだけアップしたの?
みなさんはいつ太陽光発電が誕生したかご存じですか?その起源は19世紀。アメリカの発明家チャールズ・フリッツが開発した光電池が現在の太陽電池の初期モデルだと言われています。しかし当時の変換効率※1はわずか1〜2%だったため、実用化はされませんでした。その後、技術革新が進み、徐々に性能もアップ。1955年には日本でも人工衛星などの用途として太陽電池が製作されるようになりました。そして、1993年からは住宅用太陽光発電の普及がスタート。最も普及しているシリコン系太陽電池では、モジュール単位での変換効率は25.3%、人工衛星や宇宙ステーションなどで使用される化合物系太陽電池の変換効率は31.7%まで高まっています※2。
※1 太陽電池モジュールに照射されたすべての光エネルギーのうち、どれだけ電気エネルギーとして取り出せるかの割合を示した値
※2 2017年11月現在
導入費用はどれだけ下がったの?
導入費用はどのように移り変わってきたのでしょうか。日本で最初に住宅用太陽光発電が導入された1993年当時、システム導入費は1kWあたり370万円でした。住宅に設置される容量の平均値が約4kWだと想定すると、当時太陽光発電を導入するために必要だった初期費用はなんと1,500万円!導入するためには家計に大きな負担がかかるものでした。
しかし、翌年からは補助金制度がスタート。技術の進歩で高性能化・大量生産化が進んだため、発電効率は高まり、導入コストは大幅に低下しました。
どれくらい普及してきたの?
発売当初、高価で手が出せなかった太陽光発電も、コストが下がっていったことでじわじわと家庭に普及し始めていきました。再生可能エネルギーへの転換を目指す日本も国を挙げて太陽光発電の導入を推奨。09年以降からは政府が再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT法)を始めたことで、各家庭からの売電単価が高くなりました。
1999年度の住宅用太陽光発電導入量は累計11.5万kWでしたが、2020年度では1,523万kWと21年間で約130倍に増加。導入戸数は280万件を突破しています。
進化を続ける周辺機器でもっと便利に
太陽光発電の進歩に合わせて周辺機器も進化を続けています。それまでガスによってまかなわれていた調理・給湯・冷暖房などに使うエネルギーをすべて電気に切り替えるオール電化も普及。そのシステムに対応した機器は広がりを見せています。また、発電した電気を貯める蓄電池、家庭の電化製品を自動もしくは遠隔で一元管理し、使用量をモニタで「見える化」する「HEMS(ヘムス)」など、太陽光発電に関わる多くのシステムが登場しています。そのほか、電気自動車の普及に伴い、太陽光発電から電気自動車に充電したり、逆に電気自動車に蓄えた電気を家庭用電源として使用したりするV2H(Vehicle to Home)の仕組みも生まれています。
まとめ
日本で太陽光発電が販売されてきてから20年以上。今も多くの製品が稼働しています。導入コストが下がっていることや、発電した電気が災害時にも活用できること、電気自動車やオール電化など様々な周辺機器にも裾野が広がっていることから今後も太陽光発電はますます注目されていくのではないでしょうか。