近年、地震や台風などの自然災害による停電が全国各地で頻発しています。特に首都圏では、2019年の台風15号で約93万軒が停電するなど、大規模な被害が発生しました。停電が続くと、冷蔵庫が使えなくなり食材が腐る、冷暖房が止まり熱中症や凍死のリスクが高まるなど、生活に深刻な影響が出ます。この記事では、災害時に備えて停電対策をしっかりと行い、家族を守るために必要な情報をお伝えします。

停電が起こっても「備えていれば安心」。具体的な対策を講じておくことで、災害時でも安心して日常生活を送ることができます。停電対策は一朝一夕ではできませんが、この記事を通じて少しずつ準備を進め、いざという時に困らないようにしましょう。

近年の災害による停電の状況

災害による停電の増加

近年、地震や台風などの自然災害により、停電の頻度と規模が増加しています。2019年の台風15号では、関東地方を中心に約93万軒が停電し、復旧までに数日を要しました。このような大規模な停電が発生すると、電力供給が安定している地域に住む私たちでも、生活が一瞬にして不便なものに変わってしまうのです。特に、都市部における大規模停電は、交通網の混乱や通信の途絶といった問題も引き起こし、社会全体に大きな影響を与えます。

さらに、2020年の台風10号では九州地方でも広範囲で停電が発生し、多くの家庭がライフラインの途絶に直面しました。被災地では、電力が復旧するまでに数日から1週間以上かかることもあり、その間の生活は非常に困難を強いられます。冷蔵庫の中の食材が腐ってしまったり、暑さや寒さに耐えきれず体調を崩してしまう人も少なくありません。

地震による停電のリスク

今後、南海トラフ巨大地震などが発生した場合、広範囲にわたる停電が予想されています。南海トラフ巨大地震は、関東から九州までの広い範囲で震度7クラスの揺れが予測されており、電力インフラが深刻な被害を受ける可能性があります。これにより、広範囲にわたる長期的な停電が発生し、都市部では交通網の混乱、通信の断絶、さらには医療機関の機能停止など、多くの深刻な影響が出ると考えられています。

また、首都直下型地震の発生も懸念されています。この地震が発生した場合、東京を中心とした首都圏での停電が予測されており、都市機能が麻痺する可能性が高いです。特に、電力網が被災し、復旧までに時間がかかることが予想されているため、早急な備えが求められています。停電対策を講じておくことで、生活の基本的な部分を守ることができ、復旧までの不安を軽減することができます

画像引用元:名古屋大学減災連携研究センター

停電が発生するとどうなる?

停電が発生すると、私たちの生活に多大な影響を及ぼします。現代の生活は電力に大きく依存しており、停電が発生するとすぐにその不便さを感じることでしょう。停電による具体的な影響をご紹介します。

生活必需品の使用が困難に

停電が起こると、まず直面するのは生活必需品が使えなくなるという現実です。

  • 冷蔵庫:停電が数時間以上続くと、冷蔵庫の中の食材が徐々に温まり、腐敗が進んでしまいます。特に夏場は温度が高いため、冷蔵保存が必要な食材が使えなくなる可能性が高いです。停電が1日以上続くと、冷凍庫に入れておいた食材も解凍され、再度冷凍することができなくなります。
  • 電子レンジや炊飯器:停電中はこれらの調理家電が使えなくなるため、温かい食事の準備が困難になります。特に、調理を電子レンジや炊飯器に頼っている家庭では、代替手段がない場合、食事の質が著しく低下する可能性があります。非常食の備蓄がないと、食事の準備が非常に厳しくなるでしょう。
  • 冷暖房:停電が発生すると、エアコンやヒーターが使えなくなり、室内の温度管理ができなくなります。特に夏場の熱中症や冬場の低体温症といった健康リスクが高まります。高齢者や幼児など、体温調整が難しい人々にとっては非常に危険です。

情報収集が困難に

停電時には情報収集の手段が限られてしまうことが大きな問題です。

  • テレビ:停電中はテレビが使えなくなるため、災害情報や避難指示などをリアルタイムで確認できなくなります。特に災害時には、最新の情報を得ることが非常に重要ですが、停電が続くとそれが難しくなります。
  • スマホ:スマホは情報収集に欠かせないツールですが、バッテリーが切れると全く使えなくなります。停電が長引くと、充電する手段がなくなり、災害情報の入手が困難になります。さらに、家族や友人との連絡手段が失われることで、不安が増幅されます。
  • ラジオ:電池式のラジオがあれば、災害時の情報を得る手段として有効ですが、普段から準備している家庭は少ないのが現状です。また、ラジオを使うための乾電池のストックも重要です。

安全面への不安が増す

停電が続くと、特に夜間は安全面でのリスクが高まります。

  • 視界の悪化:周囲が暗くなることで、視界が悪くなり、家の中での転倒や事故のリスクが高まります。懐中電灯やキャンドルを用意しておくことが重要ですが、火災のリスクもあるため、使用には注意が必要です。
  • 防犯リスクの増加:停電時には防犯システムも機能しなくなるため、窃盗や侵入といった犯罪のリスクが高まる可能性があります。停電が長引くと、不安が募り、精神的なストレスも増大します。
  • メンタルヘルスへの影響:停電が長期化すると、日常生活が大きく制限されるため、精神的な不安やストレスが蓄積されます。特に災害時は情報不足や生活の不便さから、心理的な圧迫感が強まり、メンタルヘルスへの影響が懸念されます。長引く停電に備え、家族と共に安心して過ごせる環境を整えることが求められます。

停電はどれくらい続くのか?

停電の継続期間は災害の規模や被災地の状況によって大きく異なります。過去の事例から、停電がどのように発生し、どれくらいの期間続いたのかを振り返ることで、今後の備えに役立てることができます。以下に、2018年から2019年にかけて日本国内で発生した自然災害による大規模停電の事例を紹介します。

1. 令和元年房総半島台風(台風15号)(2019年9月)

現地調査報告】令和元年房総半島台風(1)千葉県市原市・館山市 | 公益財団法人 市民防災研究所
画像引用元:公益財団法人市民防災研究所

この台風は、関東地方に甚大な被害をもたらしました。特に千葉県では、強風と飛来物による配電設備の故障が相次ぎ、広範囲にわたって停電が発生しました。

  • 停電規模:最大で約93万戸が停電。
  • 復旧期間:一部地域では、発生から2週間以上停電が続きました。特に千葉県では、1週間が経過しても8万戸が依然として停電状態にあり、長期間の停電に直面しました。

この事例により、都市部でも自然災害で長期間の停電が発生し、復旧に時間がかかる可能性が高いことがわかります。

2. 平成30年台風第21号(2018年9月)

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画像引用元:ふるさとチョイス災害支援

台風21号は、関西地方を中心に大規模な停電を引き起こしました。特に大阪や和歌山での被害が顕著で、停電の影響は広範囲に及びました。

  • 停電規模最大で約224万7000戸が停電。大阪府では31万6000戸が停電し、和歌山県でも全世帯の約半数が停電しました。強風による電柱の倒壊や電線の切断、飛来物による電柱変圧器の故障などが原因でした。
  • 復旧期間:停電は2週間以上続き、特に倒木や土砂崩れの影響で作業場への立ち入りが困難な地域では復旧が遅れました。完全復旧は20日を要しましたが、都市部と山間部で復旧の進捗に大きな差が生じ、地形やアクセスの問題が作業の障害となったことが分かります。

3. 平成30年北海道胆振東部地震(2018年9月)

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画像引用元:ウェザーニュース

平成30年北海道胆振東部(いぶりとうぶ)地震では、道内最大の電力供給を担っていた苫東厚真(とまとうあつま)火力発電所が被害を受け、発電所の2号機と4号機が緊急停止しました。その後、他の発電所も連鎖的に停止し、北海道全域で大規模な停電が発生しました。

  • 停電規模:約295万戸が停電し、北海道電力創設以来初めて道内全域での停電が発生しました。泊(とまり)発電所も外部電源を失い、非常用電源に切り替わる事態となりました。
  • 復旧期間:完全復旧までには数日を要し、地域によっては復旧が遅れる場所もありました。

この地震では、北海道全域が停電するという異例の事態が発生し、電力の重要性と災害時の備えの必要性を改めて痛感させられました。

4. その他の大規模停電事例

  • 熊本地震(2016年4月):5日間にわたり最大約47.6万戸が停電しました。
  • 東日本大震災(2011年3月):東北電力管内で最大約486万戸が停電し、復旧には3か月を要しました。東京電力管内でも最大約405万戸が4日間停電しました。
  • 首都圏大停電(2006年8月):送電線の接触事故により、約139.1万戸が約1時間停電しました。
  • 新潟大停電(2005年12月):暴風や塩害により最大約65万戸が一日半にわたり停電しました。

これらの事例からわかるように、停電の継続期間は災害の規模や地域のインフラの状況によって大きく異なります。特に都市部では、電力の復旧が比較的早いこともありますが、広範囲にわたる災害では長期間の停電が発生する可能性が高く、事前の備えが非常に重要です。停電がどれくらい続くのかは予測が難しいため、できるだけ長期間の停電に対応できる備えをしておくことが求められます。

停電対策としてできること

停電時に備え、家庭でできる対策を紹介します。停電対策は、いざという時のために重要な準備です。以下の対策を講じておけば、停電時にも安心して過ごすことができます。

蓄電池の設置

蓄電池を設置することで、停電時に備えて電力を蓄えておくことが可能です。その蓄えた電力により冷蔵庫や照明、スマホの充電が可能となり、生活の一部を維持できます。

  • メリット:蓄電池を設置しておけば、停電が発生してもすぐに電力を使用することができます。特に夜間に停電が発生した場合でも、照明を確保できるため、安心して過ごすことができます。また、蓄電池は太陽光発電システムと組み合わせることで、昼間に発電した電力を蓄え、夜間に使用することも可能です。
  • 導入のポイント:蓄電池の導入には初期費用がかかりますが、補助金制度を利用することで、費用を抑えることができます。また、蓄電池の容量を選ぶ際には、家庭の消費電力を考慮して選定することが重要です。

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太陽光発電と蓄電池の組み合わせ

太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせることで、停電時にも自宅で発電した電力を使用できます。これにより、数日間にわたって普段通りの生活を送ることが可能になります。

  • メリット:太陽光発電は、日中に電力を供給するだけでなく、蓄電池と組み合わせることで、夜間や曇りの日でも電力を使用できるため、停電対策に非常に有効です。また、電力会社からの電力供給が停止しても、自宅で発電した電力を使用できるため、電気代の節約にもつながります。
  • 導入のポイント:太陽光発電システムと蓄電池を導入する際には、設置場所や発電容量、蓄電池の容量を慎重に選ぶ必要があります。家庭の消費電力に応じたシステムを選ぶことで、停電時にも必要な電力を確保できます。また、太陽光発電システムには定期的なメンテナンスが必要なため、導入後のケアも重要です。

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エコキュートの設置

エコキュートは、停電時でも貯湯タンクに蓄えたお湯を使用できます。さらに、断水時にはタンク内のお湯を非常用水として利用でき、給湯や調理(煮沸消毒が必要)、さらには暖房にも活用可能です。

  • メリット:エコキュートを設置しておくことで、停電時や断水時にもお湯や水を確保できるため、非常時の生活が非常に楽になります。特に冬場にお湯を使えることで、暖を取ることができ、衛生面や調理においても安心です。また、エコキュートの貯湯タンクに貯められたお湯は、災害時の非常用水としても活用できます。
  • 導入のポイント:エコキュートの設置には、タンク本体とヒートポンプのスペース確保や、お湯を使用する人数によるタンクの容量の確認などが必要です。また停電時に備えてエコキュート自体の電力供給を確保するための対策も考えておく必要があります。エコキュートは一般的な電化製品とは異なり200Vの電源が必要となるので個別に配線工事が必要となります。
  • お湯の飲用に関する注意点:エコキュートのお湯は、カルキが抜けて水道法の飲用水基準を満たさないため、飲用には適しません。緊急時などに飲む場合は、必ず煮沸してください。お風呂や洗濯には安全に使え、少量を誤って飲んでも大きな問題はありませんが、飲み水としては注意が必要です。取り出す際は熱湯となるため、火傷に注意してください。

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まとめ

停電による影響は、生活全般にわたりますが、適切な備えをしておくことで、そのリスクを大幅に軽減できます。蓄電池や太陽光発電、エコキュートといった省エネ設備を導入し、停電が発生しても安心して過ごせる家を目指しましょう。特に、災害時の停電に対する備えは、家族の安全と安心を守るために欠かせません。

停電が起こった場合、準備が不十分だと生活が一瞬にして不便なものに変わります。しかし、事前に蓄電池や太陽光発電システム、エコキュートを導入しておくことで、停電時にも安心できる環境を維持することができます。
停電に備えることで、災害時の不安を減らし、家族全員が安心して過ごせる環境を整えましょう。

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ぜひ無料相談をお申し込みいただき、あなたの家を停電対策が万全なものにしましょう。停電対策は早めに始めることが肝心です。いざという時に備え、今すぐ行動を起こしましょう!