2023年の初めに開始された政府の「激変緩和措置」が2024年6月に終了予定です。この措置の終了が日常生活にどのような影響を及ぼすのか、そして、どのようにしてこれから高騰する電気代に対処すればよいのか。この記事では、政策の背景からその終了がもたらす経済的影響、さらには電気代の負担を軽減するための具体的な対策までを詳細に解説します。電気代の急激な上昇に備え、賢く節約するための一歩を踏み出しましょう。

激変緩和措置の全貌

激変緩和措置とは何か?

政府は、エネルギー価格高騰による家庭や企業の負担を軽減するため、2023年1月に「電気・ガス価格激変緩和対策」を開始しました。電気・ガス事業者を通じて、使用量に応じた料金値引きを行うというこの対策ですが、2024年の6月をもって終了するとの発表がありました。この対策が終了すると、再び電気代の高騰が避けられない状況となります。

激変緩和措置の適用期間と値引き単価

【適用期間】

  • 2024年1月使用分から5月使用分(2024年2月請求分から2024年6月請求分)まで

【値引き単価】

期間電気(低圧)電気(高圧)都市ガス
2024年1月~4月使用分3.5円/kWh1.8円/kWh15円/m³
2024年5月使用分1.8円/kWh0.9円/kWh7.5円/m³

「激変緩和措置」による値引き単価は、2024年5月使用分で半額に縮小され、6月使用分以降は激変緩和措置が終了予定となっています。さらに2024年5月からの再エネ賦課金の値上がりも重なり家庭の電気代に跳ね返ることが懸念されています。

激変緩和措置終了による家計への大きな影響

これまで再エネ賦課金の急激な上昇を抑えていた「激変緩和措置」が、2024年度から終了することになります。この措置の終了は、家計にとって大きな影響をもたらすことが予想されます。

一般家庭の月間電気使用量を300kWh~400kWhとして、算出月額電気料金が約540円~720円も増加するという試算が示されています。年間では6,500円~8,600円もの電気代増加が家計を直撃することに…。

「再エネ賦課金」の値上げがさらに電気代を押し上げる

再エネ賦課金とは?

再エネ賦課金とは、再生可能エネルギーの普及を促進するために導入された制度です。具体的には、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを利用して発電した電力を、国が固定価格で買い取るためのコストを賄うために、すべての電力使用者が電気使用量に応じて負担する料金です。

再エネ賦課金上昇による家計への影響

2024年度5月分から適用される再エネ賦課金の上昇は、日本の家計に直接的な影響を与えることが考えられます。賦課金が2023年度に比べて2.09円/kW増加することにより、電気代全体の上昇が見込まれ、特に電力を多用する家庭ではその影響が顕著になるでしょう。月300kWh~400kWh使用する家庭では約627円~836円増加する見込みです。

さらなる詳細と対策

この問題についてのさらなる詳細や具体的な対策に関心がある方は、再エネ賦課金に関する詳細記事をご覧ください。再エネ賦課金の将来的な見通しや、これによって電気代がどのように影響を受けるか、また、これにどのように対応すれば良いのかについて詳しく解説しています。

上記のように、これからも様々な要因により電気代が大きく変動していくことが予想されます。わたしたちの暮らしにおいて電力は欠かせませんので、うまく工夫して付き合っていくしかありません。とはいえ、素直に高騰し続ける電気代を支払うのも、気が乗りませんよね。では、どうすればよいのでしょうか。

電気代の節約

第一に考えられるのは、やはり電気代の節約です。これまでの使い方を見直して、全体的に使う電力を減らせば、自ずと電気代も収まってきます。具体的に見てみましょう。

電気使用量を減らす方法

1.家電の使用を控える

  • 冷蔵庫やエアコンの設定温度を調整する
  • こまめに照明をこまめに消す
  • テレビの視聴時間を減らす

2.省エネ家電への買い換え

  • 古い家電を、より省エネ性の高い製品に変更する
  • LED照明に交換する

3.家全体の省エネ化

  • 窓の断熱性を高める
  • 外壁や屋根の断熱性を高める

このように、できるだけ電気の消費を抑えることで、高騰する電気代の負担を軽減できます。省エネ対策に取り組むことが重要です。

電気使用契約の見直し

電気代高騰への対策として、電気使用契約の見直しも有効な方法です。具体的には以下のような対策が考えられます。

1.契約アンペア数の見直し

  • 現在の契約アンペア数が必要以上に高い場合は、低アンペアに変更する
  • 基本料金が下がるため、電気代の削減につながる

2.時間帯別プランへの切り替え

  • 昼間は高料金、夜間は低料金という時間帯別の料金プランに変更
  • 夜間の電力使用を増やし、昼間の使用を抑えることで電気代を節約できる

3.再エネ電力プランへの変更

  • 再生可能エネルギー由来の電気を選択するプランに変更
  • 再エネ賦課金の負担が軽減される

これらのように、現在の電気使用契約内容を見直すことで、より電気代の安い契約プランに切り替えることができます。上手に活用しましょう。

太陽光発電の導入

太陽光発電を自宅に設置すれば、自ら電気を生み出すことができるため、電力会社からの購入を抑えることができます。これにより、電気代の大幅な削減が期待できます。

太陽光発電の主な特長

  • 太陽光発電によって生み出した電気は、電力会社への売電により収入につながる
  • 蓄電池と組み合わせることで、夜間や曇天時の電力も自給可能
  • 補助金制度を活用すれば、初期投資が抑えられる

太陽光発電は、長期的に見れば電気代を大幅に削減できる有効な対策です。環境にも配慮できるメリットもあります。ただし、初期投資がかかるため、費用面での検討が必要です。補助金制度の活用など、様々な選択肢を慎重に検討しましょう。

蓄電池やエコキュートの活用

すでに太陽光発電を導入している方は、蓄電池やエコキュートの活用がさらに電気代の節約に効果的です。

1.蓄電池の活用

  • 太陽光発電で作った電気を蓄電池に蓄える
  • 夜間や曇天時に蓄電池の電気を使うことで、電力会社からの購入を抑えられる
  • 夜間電力の使用を増やせば、時間帯別料金プランの活用も可能

2.エコキュートの活用

  • 電気給湯器のエコキュートは、電気料金の安い深夜時間帯に湯を沸かして貯め込む
  • 朝や夕方の高料金時間帯に貯めた湯を使うことで、電気代の節約ができる

蓄電池とエコキュートを組み合わせて活用することで、太陽光発電の電力を効率的に活用し、電気代の大幅な削減が期待できます。

蓄電池はその名の通り、発電や買電した電気を蓄え、必要なときに必要な分だけ使うことができるようにするシステムのこと。太陽光発電システムとの組み合わせで、大きな節電効果を発揮します。

>詳しくはこちらをご覧ください。

おひさまエコキュートは、電気代の安い深夜時間帯に自動で湯を沸かし、朝や夕方の高料金時間帯に貯めた湯を使うことができる電気給湯器です。省エネ効果が高く、電気代の節約に役立ちます。

>詳しくはこちらをご覧ください。

まとめ

電気代は様々な要因で年々上昇を続けており、2023年に導入された「激変緩和措置」が2024年6月に終了すると、さらに大幅な高騰が予想されます。同時期に「再エネ賦課金」の値上がりもあり、その影響は広範囲に及ぶことが懸念されます。

しかし、節電の実践、契約プランの見直し、太陽光発電の導入、蓄電池やエコキュートの活用などの対策を組み合わせることで、電気代の負担を大幅に軽減できます。視野を広く持ち賢く対処することで、高騰する電気代に対応していきましょう!