家庭用蓄電池を選ぶとき、「どれを選べばいいの?」と迷う方は多いはず。蓄電池にはさまざまな種類があり、容量や寿命、停電への対応力など、比較すべきポイントがたくさんあります。

本記事では、 家庭用蓄電池の選び方において重要な6つのポイントを解説し、さらに 蓄電池の種類ごとの特徴とおすすめの家庭についても詳しくご紹介します。これを読めば、あなたにピッタリの蓄電池が見つかるはずです!

家庭用蓄電池導入のメリットおさらい

蓄電池の導入には、以下のようなメリットがあります。

  • 電気代の節約:夜間の安い電気を貯めて、日中に活用できる。
  • 停電時の備え:災害などの停電時にも電気を使える。
  • 環境に優しい:太陽光発電と組み合わせることで、クリーンな電力活用が可能。
  • エネルギーの自給自足:太陽光発電と組み合わせることで、電力会社への依存を減らせる。

家庭用蓄電池の導入に関するメリットやデメリットについて、より詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。この記事では、コスト面や実際の電気代削減効果、長期的な運用のポイントなども詳しく解説されていますので、導入を検討している方におすすめの内容です。

家庭用の蓄電池を選ぶ際に大切なポイントはこの6つ!

一口に蓄電池と言っても、特徴はさまざま。 製品を選ぶ際に大切なのは、住環境や消費電力量、ライフスタイルに合わせて比較・検討すること です。ここでは、見極める際の参考として、6つのポイントを紹介します。

1. 蓄電容量

蓄電容量は、どのくらいの電気をためられるかを示す重要な指標です。容量が大きいほど、たくさんの電気を長時間使用できます。

停電時に蓄電池にためた電気を使う際には、 特定の回路だけで使用できる「特定負荷型」と、 家全体で使用できる「全負荷型」の2タイプがあります。全負荷型の方が便利ですが、容量も大きく価格も高くなりやすいので、予算やライフスタイルに応じて選びましょう。


2. 寿命(充放電回数)

蓄電池の寿命は「充放電回数(サイクル数)」で決まります。 サイクル数が多いほど長持ちします。保証されている回数を超えると、蓄電容量は徐々に減少していきます。

製品によってサイクル数は異なるので、導入前に必ず確認しましょう。長期的に使いたい方は、10,000サイクル以上の製品を選ぶと安心です。


3. サイズ(設置スペース)

蓄電池は意外と大きいため、設置場所の確認が必要です。屋外設置専用の大型タイプもあれば、室内に設置できるコンパクトタイプもあります。

事前に設置場所の広さを測っておくと、設置時のトラブルを防げます。最近は マンションでも対応可能なモデルが登場しており、戸建て以外でも設置が可能になっています。


4. 太陽光発電との併用可否

蓄電池は太陽光発電との相性が抜群です。昼間に発電した電気を蓄えて、夜に使用することで、より効率的なエネルギー運用が可能になります。

すでに太陽光発電を導入しているご家庭は、どのように連携できるのか、発電・蓄電の流れや自動制御機能などもチェックするとよいでしょう。


5. 停電時に使える出力(停電時出力)

災害や停電時、蓄電池がどれくらいの電力を出力できるかも非常に重要です。出力が低いと、使える家電が限られてしまいます。

例えば、冷蔵庫・スマートフォン・照明などの最低限の家電を賄いたいのか、エアコンなども使いたいのかによって、必要な出力は変わってきます。事前に使いたい機器をリストアップしておくとスムーズです。


6. 保証内容とサポート体制

家庭用蓄電池は高価で長く使う製品だからこそ、 保証の充実度はとても大切なポイントです。一般的には10年保証が主流ですが、メーカーによって条件や対象範囲が異なります。

また、故障時や不具合があった場合のサポート体制や対応スピードも重要です。購入前に販売店やメーカーのアフターサービス体制をしっかり確認しておきましょう。

蓄電池の種類と、それぞれに合う家庭の特徴

蓄電池は、大きく分けて次の3種類があります。

1. 独立型(定置型)蓄電池

独立型は、電力会社の商用電源から充電し、災害時の非常用電源や、深夜電力の活用による節約を目的に使われるタイプです。太陽光発電との連携はできません。

放電の方法には2種類あり、ひとつはブレーカーを通して家庭内の一部の電化製品に給電する方式。もう一つは、蓄電池本体に付いたコンセントに機器を差し込んで使用する方式です。

特徴

  • 比較的安価で導入しやすい
  • 太陽光発電とは連携できない
  • 主に災害時や深夜電力の活用に向いている

こんなご家庭におすすめ!

  • 太陽光発電を導入していない方
  • 初期費用を抑えたい方
  • 停電時の最低限の備えがほしい方
  • 夜間の電気料金が安いプランを利用している

2. 連係型蓄電池

連係型は、商用電力だけでなく、太陽光発電からも電気を充電できるタイプ。分電盤を通じて、家庭内の電気配線に直接電力を供給します。

停電時に商用電源が切れても、太陽光発電が稼働していれば、蓄電池に充電し続けることが可能。災害時の安心感が大きな魅力です。

特徴

  • 太陽光発電との相性が非常に良い
  • 日常使いから非常時のバックアップまで幅広く活用可能
  • 価格は独立型より高め

こんなご家庭におすすめ!

  • すでに太陽光発電を導入している方
  • 電気代の節約をしたい方
  • 停電に備えて家全体の電力供給を確保したい方
  • エコで持続可能な暮らしを実現したい方

3. EV(電気自動車)対応型蓄電池

EV対応型は、電気自動車を蓄電池として使えるシステム。パワーコンディショナ※機能を備えており、EVのバッテリーに蓄えた電力を家庭で活用することができます。

製品によっては、商用電源や太陽光発電からの充電も可能。容量が大きく、家まるごと電力をまかなえるケースもあります。

※パワーコンディショナとは、発電・放電で使われる電力の種類の違いを調整して、家庭で使える電気に変換する装置です。

特徴

  • EVを所有している家庭に最適
  • 容量が大きく、長時間使用可能
  • 導入コストは高めだが、利便性は抜群

こんなご家庭におすすめ!

  • 電気自動車を所有している方
  • 車を電源として活用したい方
  • 停電時にも長時間の電力供給が必要な方
  • 将来的にEV購入を検討している方

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メーカーのおすすめ製品紹介

ここからは、各メーカーの特徴的な製品について紹介します。

①シャープ

引用元:SHARP

シャープの連携型「クラウド蓄電池」は、その名の通りクラウド上で外部情報や家庭の環境データを取り込み、最適な運用を行います。

主な機能

  • 天気予報から発電量を予測
  • 家庭の電力使用実績に基づいて最適運用を調整
  • 電気代を最も安く抑える運転を実現
  • AIの発達で予測精度のさらなる向上が期待

天気予報をもとに発電量を予測し、家庭の電力使用実績から使用量を計算。電気代が最も安くなるよう蓄電池を運転します。AIの進化により、今後さらに予測精度の向上が期待できます。

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②パナソニック

選べる多彩なラインアップ
引用元:Panasonic

パナソニックが取り扱う蓄電池のひとつ「パナソニック5kWh蓄電池」は、コンパクトで低価格(約90万円)なのが魅力。

主な特徴

  • 机の下やリビング、玄関など場所を選ばず設置可能
  • 初めて蓄電池を導入する家庭に最適

また、電気を「創る」「蓄える」を一体化した 創蓄連携システムにも力を入れているのがパナソニックの特徴です。

パナソニックの創蓄連携システムは、業界で初めて太陽光発電システムと蓄電池のパワーコンディショナを一体化することに成功しました。これにより、電気の変換ロスを削減し効率化を実現。さらに、雨の日や夜間でも蓄電した電力を無駄なく活用できるため、より効率的にエネルギーを利用できます。

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③オムロン

太陽光発電用 ハイブリッド蓄電システム KP55Sシリーズ | 再生可能エネルギーを創り活用するエネルギーソリューション | オムロン  ソーシアルソリューションズ
引用元:OMRON

オムロンのハイブリッド型蓄電システム「KP55Sシリーズ」は、商用電力と太陽光発電の両方から蓄電できるモデルです。

主な特徴

  • 世界最小クラスのコンパクト設計(2017年2月現在OMRON調べ)
  • 売電優先の「経済モード」、停電に備える「安心モード」、自家消費優先の「グリーンモード」
  • 電気料金や売電価格の変化にも柔軟に対応

世界最小クラスのコンパクト設計で、設置スペースを気にせず導入できます。また、売電優先の「経済モード」、停電に備える「安心モード」、自家消費優先の「グリーンモード」と、家庭のライフスタイルに合わせたモード選択が可能。電気料金や売電価格の変化にも柔軟に対応できるため、長期的な利用に最適です。

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④ニチコン

12kWh 蓄電システム ESS-U2L1
引用元:nichikon

ニチコンでは、 大容量で高出力の「ESS-U2シリーズ 」と、 コンパクトで導入が簡単な「ESS-P1S1」の2つのタイプを展開しています。

ESS-H1シリーズの特徴

  • 業界最大級の12kWh蓄電容量
  • 太陽光発電のパワーコンディショナ内蔵で変換ロスを軽減
  • 安心の15年長期保証

ESS-H1シリーズは 業界最大級の12kWh蓄電容量を持ち、太陽光発電のパワーコンディショナを内蔵しているため、変換ロスを軽減し効率よく電力を利用できます。また、15年という長期間の保証もついているため、安心して使用できます。

ESS-P1S1の特徴

  • コンパクトで配線工事不要
  • 学校や公共施設、オフィス、マンションなど幅広い用途
  • 災害時や停電時のデータ保護にも最適

ESS-P1S1は コンパクトな設計で配線工事が不要なため、学校や公共施設、オフィス、マンションなど幅広い用途で活躍します。さらに、災害時や停電時のパソコンやデータ保護など、緊急時のバックアップ電源としても最適です。

●関連記事>>【蓄電システム徹底比較!ニチコン編】 多様な環境条件にも耐える、抜群の安定性


⑤エネテラス

エネテラスの「アイビス」は、小型ながら性能が高く、狭いスペースでも設置しやすい連携型蓄電池です。

主な特徴

  • 太陽光発電とスムーズに連携、無駄なく蓄電
  • 停電時に冷蔵庫や照明など重要機器に安定電力供給
  • 初期費用を抑えて高性能を求める家庭に最適

性能が高いので太陽光発電とスムーズに連携することで効率的に蓄電が可能です。停電時でも冷蔵庫や照明などの重要機器へ安定して電力供給ができ、初期費用を抑えながら高性能を求める家庭に最適なモデルです。


⑥京セラ

京セラの6.5kWhマルチDCリンクタイプのリチウムイオン蓄電システムの商品内容
引用元:エコ発電本舗

京セラの「マルチDCリンクタイプ」は変換ロスを極限まで抑えることが特徴です。

主な特徴

  • 電力の変換回数を削減
  • 従来品より利用効率が6%以上向上
  • 節電効果が高く、効率的な電気使用を実現

「太陽電池モジュールでの発電→蓄電池への充電→家庭内への供給」という流れにおいて、それぞれの機器を経由するときに直流電力↔交流電力間の変換が起こるため、電力ロスが発生します。しかし、「マルチDCリンクタイプ」は、その変換回数を減らすことに成功。 従来品よりも6%以上も利用効率が改善されており高い節電効果をもたらします。

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⑦スマートスター

引用元:SMART STAR

スマートスターLは、日常利用から非常時の備えまで頼れる家庭用蓄電池です。

主な特徴

  • 9.8kWh大容量で一般家庭の1日分の電力をカバー
  • 3kVA高出力で200V機器も対応
  • 停電時でも太陽光発電を通常運転可能
  • AI機能で使用量や天候、料金に基づき最適制御

9.8kWhの大容量で一般家庭の1日分の電力を十分にまかなえます。さらに3kVAの高出力により、200V機器にも対応可能で、停電時でも太陽光発電を通常通り運転できます。またAI機能を搭載し、電力使用量や天候、料金情報を基に最適な運転を自動的に行います。

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⑧トヨタ

引用元:TOYOTA

トヨタの「おうち給電システム」は、自動車技術を応用した革新的な家庭用蓄電池です。

主な特徴

  • 全負荷対応で停電時も家全体に電力供給
  • トヨタ車(HEV・PHEV・BEV・FCEV)と連携しクルマから給電
  • 専用アプリで運転状況をスマホで確認・操作
  • 住宅になじむ薄型デザイン

停電時には家全体に電力を供給でき、HEVやPHEV、BEV、FCEVなどのトヨタ車と連携して車からの給電も可能です。専用アプリで運転状況をスマートフォンから確認・操作ができ、薄型デザインで住宅に自然になじみます。安全性と信頼性が高く、多機能なため、これからの時代に最適な製品です。

まとめ:最適な蓄電池を選んで安心・快適な暮らしを

家庭用蓄電池を選ぶときは、 容量・寿命・サイズ・太陽光との連携・停電対応力・保証の6つをしっかり比較しましょう。また、ご家庭の電力使用状況やライフスタイルに合わせて、 独立型・連系型・EV対応型のどれが適しているかを見極めることも大切です。

近年はEVとの連携も進んでおり、選択肢はどんどん広がっています。正しい知識を持って、自分にぴったりの蓄電池を選び、これからの時代にふさわしい、安心でエコな暮らしをスタートさせましょう!