決して小さな買い物ではない、太陽光発電システム。導入するからにはお得に使いたいですよね。ここでは「余剰売電」「全量売電」「自家消費」、発電した電気の3通りの仕組みを比較しながら、将来も含めて最適な太陽光発電システムの使い方についてご紹介します。
どう違う? 「余剰売電」と「全量売電」
使いきれない電気を売る「余剰売電」と、発電した電気をすべて売る「全量売電」。日本の標準的な住宅の屋根に取り付けられる太陽電池モジュールの総出力は4〜5kWがいいところ。つまり、ほとんどの一般的な住宅では、自動的に余剰売電の方式が採用されるのです。
ただし、現在はカーポートの屋根にも太陽電池モジュールを設置するなどして、10kW以上の出力を確保できる住宅も出てきているため、個人住宅でメガソーラーや工場のような全量売電が不可能なわけではありません。ただし、検討される場合は設置時の補助金の有無、買取単価や買取期間などもしっかりと考慮しておきたいところです。
余剰売電と全量売電の比較
売電方式 | 余剰売電 | 余剰売電or全量売電 |
---|---|---|
太陽光発電の設備容量 | 10kW未満 | 10kW以上50kW未満 |
固定買取期間 | 10年間 | 20年間 |
買取価格(2024年度) | 16円/kWh | 12円/kWh |
どちらがお得? 「余剰売電」と「自家消費」
「余剰売電」と「自家消費」。一般的な住宅では、電気を売るのと使うのとでどちらがお得なのでしょうか。結論からお伝えすると、2019年までは余剰売電の方がお得でしたが、2020年度には買取単価が、ご家庭で使用した電気料金単価を下回り「余った電気を売って得られる利益」と、「売らずに使った方がお得になる」ということです。また、その後も売電価格は低下すると考えられており、自家消費のメリットは年々大きくなっていくことが予想されます。
10kW未満太陽光の買取価格の推移
引用:経済産業省 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(第1回)配布資料「資料4 住宅用太陽光発電に係る2019年以降のFIT買取期間終了を契機とした対応について」より
「買う」より「つくる」方が安くなる?「グリッドパリティ」という考え方
近年低下している売電価格。一方で、買電価格は震災で原子力発電の稼働がストップしたこともあり、以前より3割ほど値上がりしています。つまり、売れる電気は安くなり、買う電気は高くなっているということ。「それでは損するばかりではないか」とも考えられますが、自家消費を活用することで状況は変わります。
例えば、太陽光発電の法定耐用年数である17年という長いスパンで見たとき、自家消費した発電量を導入費用で割れば、その期間の発電単価(円/kWh)が算出されます。現在、技術の進歩によって太陽光発電システムの導入費用は低下し、発電量も向上したため、発電単価はぐっと抑えられるようになりました。その結果、同じ量の電気を使用したとき、電力会社から電気を購入するよりも太陽光発電システムで発電して自家消費した方がお得になるという状況が起こるようになります。このように発電単価が買電価格と同じ、もしくは安くなる状態のことを「グリッドパリティ」と言います。
グリッドパリティを達成するためには、買電に頼らず、自家消費できる電気を貯めておくことが重要。そのため、太陽光発電が発電できない時間帯にも発電した電気を使用できるよう、蓄電池はもとより電気自動車の電気をご家庭で利用することが出来るV2H(Vehicle to Home)などの機器の導入を考える必要があります。
まとめ
一般的な住宅で太陽光発電システムを導入する場合、今後は自家消費が最もお得な使い方だと言えるでしょう。その場合、太陽光発電が発電できない夜間帯の電気の購入量が抑えられ、災害時などの停電にも活躍してくれる蓄電池の導入を、どうぞお忘れなく。